Blog 参考書レビュー
難関大学合格のためのおすすめ参考書(鉄緑会 東大英単語熟語 鉄壁)
茗荷谷の個別指導宿ESCAの講師、真鍋です。本稿では私が大学受験生の時に用いていた参考書の一つである、「鉄緑会 東大英単語熟語 鉄壁」(以下「鉄壁」)のレビューを行います。
ある程度以上の難関校を志望する受験生なら、「鉄壁」の名前を聞いたり、他の受験生がやっているのを見たりしたことがあると思います。
特に東大志望の受験生の中ではある種のシンボルのようにもなっている「鉄壁」ですが、少し中を見ると、他の単語帳に比べてかなり特殊であることに気づくと思います。
また、その分厚さや使用層などからとっつきにくいイメージを持ち、食わず嫌いで敬遠したり、逆に基本的な英語力が足りていないのに取り組んで、上手く実力をつけられなかったり、といったように少しクセのある単語帳でもあります。
本稿では、このように特殊な単語帳である鉄壁の特徴や利用法を解説しますので、参考にして上手く活用していただければ幸いです。
講師(真鍋公介) 基本情報
志望校:東京大学理科一類
合格校:東京大学理科一類、慶應義塾大学理工学部
勉強していた教科:英語、数学、現代文、古文、漢文、物理、化学、世界史
得意だった科目:英語、古文
苦手だった科目:数学、化学
参考書を用いていた時期:高3を通して使用
「鉄緑会 東大英単語熟語 鉄壁」
・概要
対象 | 難関大学を受ける受験生 |
目的 | 単語力の強化、未知の単語でも意味を推測する力をつける |
範囲 | 英単語、熟語 |
使用時期 | 高2夏~受験期 |
難易度 | 早慶以上 |
量 | 2000~3000単語、600ページ強 |
「鉄壁」の特徴を一言でまとめるならば、「英単語の意味を効率よく覚えられるよう、様々な工夫が施された単語帳」です。
一般的な単語帳では、例えば
subject 名①科目、主題 ②家来、臣民;患者、被験者
形 従属している、かかりやすい
といったように、単語の横にその意味が辞書的に書かれたものが、表のように並んでいます。このような単語帳で単語を覚えようとすると、ひたすらに書いたり赤シートでかくしたりして、機械的に意味を覚えるしかなくなります。
また、そのように意味を覚えたとしても、「従属している」という意味がどういうイメージなのかをうまくつかむことができません。
「鉄壁」では、上の意味に加えて、
sub-(下に)+ject(投げる)→「下に投げられ影響・支配の対象になるもの」
「話題・研究の対象」→「科目、主題」 「支配の対象」→「家来、臣民」
「治療の対象」→患者 「支配下にある」→「影響を受けやすい」
といったように、語の成り立ちと、それがどのように意味に結びついているのかが示されています。これにより、単語の意味のイメージ・ニュアンスを把握できるので、長文読解の際の文章理解がより正確になります。
また、例文が一単語に一つではなく、一つの意味に一つついているため、例文を通して意味の違いを把握することができます。
他にも、単語のニュアンスを表現したイラストが豊富に掲載されているため、文章による説明では表現しづらいニュアンスの違いも理解することができます。
このように、一つ一つの単語について、効率的に意味を覚えられる工夫がなされているのですが、単語を並べる順番にも工夫がなされています。
一般的な単語帳では難易度順に単語が並んでいますが、「鉄壁」は50セクションで構成され、それぞれのセクションである一つのテーマに関する単語がまとめて扱われています。そのために、類義語などをまとめて覚えることができ、その違いで混乱することがなくなります。
また、これは私の個人的な意見になるのですが、これまで見たような工夫によって、「英単語のニュアンスをつかむ力」を鍛えることができます。そのため、未知の単語に出会ったときに語幹や語尾、文章中での位置などから、その意味を予測することができるようになり、長文読解に強くなります。
このように、「鉄壁」には英単語を効率的に覚えるための様々な工夫がなされており、単なる機械的に暗記にとどまらず、実際に「使える」単語学習をすることができます。
・取り組み方
「鉄壁」を1冊目の単語帳として使うことはお勧めしません。その理由としては、初歩的な単語は省かれていることが多い、例文の中でわからない単語が多いと例文を理解の役に立てられない、ということが挙げられます。
かといって、難しい単語帳をやった後に挑戦しろというわけではなく、初~中級レベルの単語帳を終え最低限の単語力を身に付けた後なら「鉄壁」を使っていいと思います。
私の場合、学校で中級レベルの単語帳をやっていたので、その後高校3年から使い始めました。これは「鉄壁」だけでなく単語帳全般に言えることなのですが、いろいろな単語帳をやるよりも、1冊を何回も勉強するほうが効果的です。
そして、どうせ1冊しかやらないのなら、「鉄壁」で丁寧に勉強した方が良いだろう、と考えました。
・復習方法
実際に勉強する際には、1セクションをまとめて勉強するよう心がけましょう。セクションごとにテーマが決まっているため、まとめてやることで理解がしやすくなります。1セクションは長すぎず短すぎない量なので、勉強の目安にもしやすいです。
また、1回目は覚えようとするのではなく、読んで説明を理解する、といった気持ちでやるといいと思います。1回読むとその後簡単に覚えられると思います。
1回読んだあと、今度は覚えるつもりで勉強。これを1日でやり、その後2回ほど復習すれば、かなり覚えることができると思います。単語を覚える際は、1回で覚えようとするのではなく、何回も復習した方が結果的に楽に覚えられ、また、忘れにくくなります。
各セクションの最後に確認テストがついており、それを利用して覚えたかどうかチェックしてください。
まとめ
「鉄壁」は英単語を効率的に覚えられるよう、様々な工夫がなされた単語帳であり、単語力だけでなく長文読解やリスニングなど、英語力を総合的に強化することができます。
その分厚さから敬遠する受験生も多いかもしれませんが、これまで述べてきたように「英単語を覚えるための工夫」がなされているため、想像よりもスムーズに学習を進めることができます。
難関校や、英語にウェイトを置いた受験をされる方は食わず嫌いせず是非一度試してみてほしいと思います。
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その他の参考書レビューは過去記事からどうぞ。
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