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【高校数学】学校の問題集ってどうなの?チャートと比較してみる
個別指導塾ESCA茗荷谷校の塾長岸田です。
この時期は受験を控えた新規入塾性が多いのですが、体験授業やこれからの授業、自習のカリキュラムを相談している上で、使用する問題集について質問を受けることがよくあります。
当たり前のことですが、普遍的で誰にとっても完璧な問題集というものはなく、それぞれの問題集で優れている面もあれば、人によって適していない場合もあります。
学習塾ESCAでは、受験勉強を始めた多くの生徒には、まず学校の問題集を5月までに最低1周、できれば2周してもらいます。
しかし、受験生の中には気持ちの焦りから「学校の問題集を受験期にやっていて大丈夫なのか?」という気持ちも生まれてくると思います。
そこで、なぜ最初に学校の問題集を勧める場合があるのかということを、問題集の特徴などを踏まえて説明していきます。
今回は数学にフォーカスを当てて、学校で配られる問題集と、受験生に人気のチャートシリーズについて考えていきたいと思います。
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1.学校問題集の特徴
学校の数学問題種と言ってもその種類は様々だと思います。メジャーなところで言うと、4step、サクシード、オリジナル、スタンダード、クリアーなどでしょうか。
いずれにせよ、学校で授業が行われる前提で作られた問題集なので、次のような特徴があります。
・解説が少ない
・全レベルの大学で必要な基礎問題が充実している
・上記の反面特殊な問題(応用レベルの問題)は少ない
解説が少ないので、自習には向かないのではないか?と考えがちですが、そんなことはありません。
まず、学校の問題集は学校の授業で取り上げられているハズですので、一度は目にした問題であるという点です(いきなり復習からスタートできるので意外と時間の節約になります)。授業ノートやプリントを利用すれば、自ずと記憶が蘇ると思います。
また、学校の問題集を周回するのは「計算と典型解法の定着」即ちドリル的な使い方が目的です。
この段階では難問や応用問題を解く必要はありません。逆にこの問題集でも難しい、という人にとっては自習教材として使うのは不適切ですので、塾や学校の先生と一緒にこなす教材として利用しましょう。
知ってはいるけどスラスラできない、という人は、計算や典型問題を繰り返し行い、取りこぼしのないようにしましょう。
※ちなみに関関同立、MARCH以上を狙うのであれば学校問題集に出てくる問題はほとんど全てが典型解法扱いです。パッと解法が出てこない問題があるうちは周回すべきです。
逆に計算はスラスラできる、学校のテストではそこそこの点数が取れている人は、この段階を飛ばしてもらっても大丈夫です。
2.チャートの特徴
チャートはレベルによって低い方から白チャート、黄チャート、青チャート、赤チャートと種類があります。
このチャートシリーズの特徴は各色によっても変わってきますが、概ね以下のようになります。
・解説が多い
・計算問題をはじめ基礎問題の問題数が少ない(パターン定着の演習がしにくい)
・応用問題の種類が多い
チャートは解説が非常に丁寧で、かつ、単元の最初に重要事項や公式をまとめてくれているので、自習教材として非常に優秀です。
また、レベルも白から赤まで分かれているので、自分に合ったものをチョイスしやすいのもメリットです。
ではチャートが自習用教材として最適解なのか?と言われると、考えなく使うとなかなか成績が伸びない可能性もあります。
その最大の理由は「特に計算問題や基本問題の問題数の少なさ」にあります。勘違いしないでいただきたいのは、決して問題の種類が少ないというわけではありません。
もちろん人によって必要な問題数は異なるので、万人に当てはまることではないですが、一般的に計算スキルの定着や典型解法を使いこなすためには、似たような計算や問題を繰り返し行う必要があります。
チャートはドリルのような性質を持っていないので、この計算問題や基本問題の問題数が不足しがちなのです(特に黄色チャートより上位のチャート)。
この特性を理解せずに、焦りからいきなりチャートに手を出しても思ったように成績は伸びません。
先ほども申し上げた通り、計算演習や基本問題演習を疎かにしてきたという自覚のある人は、いきなりチャートから使用するのではなく、まずは学校問題集を使用しましょう。
3.狙う大学のレベルで問題集を選ぼう
よく聞かれるのが、どの色のチャートを使えば良いですか?という質問です。
「出口」として答えるならば、関関同立、 MARCHレベルであれば黄チャートで十分、早慶、旧帝大などであれば青チャートで十分、東工大や国立医学部、医科大などで数学でアドバンテージを取りたいのであれば赤チャートに手を出しても良い、くらいでざっくり考えてください。
では、日東駒専、産近甲龍狙いであれば学校の問題集だけで十分なのか?というと、少し不安が残ります。
先ほども述べた通り、問題集のレベルというよりも、学校の問題集とチャートでは使い方が異なります。
日東駒専や産近甲龍を狙う人は、学校問題集に加えて白チャートや黄チャート(もちろん、チャート以外の応用系問題集でも可)を使うのが良いでしょう。
勘違いしている人が多いのですが、大学入試は科目によらず「満点」を狙うテストではありません。
学校の定期テストは先生が教えたことが定着しているかを調べる「確認」のためのテストです。(参考:定期テストで点数が取れない4つの理由)
しかし、大学入試をはじめとするすべての入試は確認のためのテストではなく「選別/落とすため」のテストです。
つまり、上記で挙げたチャートの例は、目標大学の数学ですべての問題が完璧に解けるというレベルではなく、定着させれば目標校の数学で安定的に合格点が出せるものだと認識しておいてください。
4.今の自分のレベル、伸ばしたい能力によって使い分けよう
勉強に焦っている人は、学校の問題集やチャートを「良い参考書なのか、悪い参考書なのか」という目線で判断しがちですが、そうではありません。
個人的には数学というのは以下のような能力によって成り立っていると考えており、学校の問題集、チャートではそれぞれ自分のレベル、伸ばしたい能力によって使い分けるものだと考えています。
①定義定理などの暗記と定着
②計算力
③基礎解法の定着
④応用解法のストック
⑤解法の組み合わせ(応用力)
もちろん、数学全体として自分のレベルや伸ばしたい能力を見るのではなく、単元ごとにどのレベルに自分がいるのか、そして単元ごとに伸ばしたい能力は何なのかということを考える必要があります。
大抵の受験生は、高校2年生の2月から高3の4月時点では、①〜③が出来ていません。出来ているつもりでも、受験経験者からすると不十分な場合が多いです。
そこで、主に①〜③を伸ばす意味で学校の問題集を利用し、その後④、⑤を鍛えるためにチャートを利用する、というプロセスを取っています。
※もちろん、①〜③が十分できている生徒にはいきなりチャートから入る場合もあります。
みなさんも自分の今のレベルや伸ばしたい能力を冷静に分析し(学校の先生や塾の先生などの第3者に分析してもらうのも良いでしょう)、今一度適切な問題集を考えてみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。スポーツも勉強も、果てはゲームの世界まで、成長するには適切なプロセスを踏む必要があります。
もちろん、時間さえかければ全ての物事はある程度習得可能です。
しかし、有限な受験期間の中で効率的に成績を伸ばすためには、ただ難問を解けば良いということではないのです。
何事も基礎が定着するまでは苦しいものです。
難関大に合格する人の中には(私の友人にもいますが)、ドリル的な反復練習を「意味がない」と評する人もいます。
確かに、数学のセンスが異常に高い人で反復練習を必要としない人もいるかもしれません。
しかし、一般的に数学の能力を上げるためには上記のような反復練習は必要不可欠です。
しかも、上記のようなセンスのある人は「反復の必要がない」と言いますが、結局数学ができない人よりは確実に反復練習をしていることがほとんどです。
効率的に勉強をすれば、必要以上に焦る必要はありません。
もし、自分に最適な勉強法がわからない、という方は、お気軽にお問い合わせください。
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